— “今ここ”を取り戻すヨガ的ヒント
こんにちは、ヨガ哲学担当のカナコです。
忙しすぎて、「え、もう夜!?」って日、ありませんか?
たとえば私の場合は……
朝、まだ日が昇る前に犬の散歩へ行きます。
暑くなると危ないので、早朝のうちに済ませるのが日課です。
でも、そこからが怒涛。
帰ってきたらお風呂に入って、洗濯して、干して、朝ごはん作って、ゴミを出して、
執筆して、トレーニングして、ヨガクラスに出かけて……
帰ってきても、また家事・お仕事・あれこれ。
やることはたくさんあるし、どれも大事。
だけど気づいたら、もう日が暮れているんですよね。
あれもこれも…なのに、心はずっと「先のこと」
毎日を一生懸命に過ごしているのに、
どこか**“自分の中身”が置いてけぼり**になっている感覚、ありませんか?
ヨガ哲学では、そんな状態に
「心が外に向かって引っ張られている」と表現します。
- 次は何をするか
- このあと何が残っているか
- やり忘れたことはないか
心はずっと「未来」にいて、
“今ここ”にはなかなか戻ってこれない。
プラティヤハーラ:感覚を、内側へ向ける
ヨガの八支則の一つに、**プラティヤハーラ(感覚の制御)**という教えがあります。
これは、視覚・聴覚・思考など、
外の情報に向いていた意識を、内側へ戻す練習のこと。
忙しいときほど、目はスマホに、耳は通知に、頭はタスクに。
でも、そんなときこそ——
一度目を閉じて、呼吸の音だけを聞いてみる。
それだけで、感覚が“いまの自分”へと戻ってきます。
サントーシャ:「今ここにあるもの」に気づく
もうひとつ、大切な教えに**サントーシャ(知足)**があります。
これは、**「いま、ここにあるものに満ちていると気づく」**こと。
- 洗いたてのタオルのにおい
- 朝の光が床に落ちる静かな瞬間
- ごはんを食べるときの、あったかい湯気
それをちゃんと味わえているか?
それに気づけているか?
“ある”ものに触れることで、心はふっとやわらかくなります。
実践:心を「今」に戻す、3つの習慣
① 呼吸の音に戻る
目を閉じて、自分の吐く息・吸う息の音に意識を向ける。
30秒でもいい。頭の中が静かになってくる。
② 小さな動作を、ていねいに
洗い物、湯を沸かす、タオルをたたむ。
その「手の動き」に注意を向けてみる。
今ここで、私は生きている。
③ 「まだこんな時間なんだ」と言ってみる
忙しいはずの中にふと生まれる、時間の余白。
その感覚に気づいた瞬間こそ、心が“今”に触れている証。
ヨガは、今ここに戻ってくる練習
忙しいことが悪いわけじゃありません。
でも、「忙しいまま一日が終わること」が、なんだか虚しく感じるときがありますよね。
ヨガは、そんなときの“帰る場所”になってくれます。
ほんの少し、
目を閉じて、呼吸に意識を向けるだけでも——
あなたはすでに、ヨガをしているのです。
最後に、ひとこと
「今に気づくこと」それ自体が、もうヨガなのです。
— ヨーガ・スートラより
時間に追われる日も、
心がどこかに飛んでしまう日も、
それに気づけた瞬間から、静かな“実践”が始まっています。
終わりに
RYT200では、ポーズや解剖学だけでなく、
こうした**“暮らしの中でのヨガ哲学”**を大切に学んでいきます。
ヨガを学ぶことで、忙しい日々が変わるわけではありません。
でも、その中のひとつひとつの時間に、静かな“気づき”を取り戻す力が育ちます。
マットの上だけではない、あなたのためのヨガ。
一緒に探してみませんか?
