Column

🌅「気づいたら今日も終わってた」

2025年08月20日

— “今ここ”を取り戻すヨガ的ヒント

こんにちは、ヨガ哲学担当のカナコです。

忙しすぎて、「え、もう夜!?」って日、ありませんか?

たとえば私の場合は……
朝、まだ日が昇る前に犬の散歩へ行きます。
暑くなると危ないので、早朝のうちに済ませるのが日課です。

でも、そこからが怒涛。

帰ってきたらお風呂に入って、洗濯して、干して、朝ごはん作って、ゴミを出して、
執筆して、トレーニングして、ヨガクラスに出かけて……
帰ってきても、また家事・お仕事・あれこれ。

やることはたくさんあるし、どれも大事。
だけど気づいたら、もう日が暮れているんですよね。


あれもこれも…なのに、心はずっと「先のこと」

毎日を一生懸命に過ごしているのに、
どこか**“自分の中身”が置いてけぼり**になっている感覚、ありませんか?

ヨガ哲学では、そんな状態に
「心が外に向かって引っ張られている」と表現します。

  • 次は何をするか
  • このあと何が残っているか
  • やり忘れたことはないか

心はずっと「未来」にいて、
“今ここ”にはなかなか戻ってこれない


プラティヤハーラ:感覚を、内側へ向ける

ヨガの八支則の一つに、**プラティヤハーラ(感覚の制御)**という教えがあります。

これは、視覚・聴覚・思考など、
外の情報に向いていた意識を、内側へ戻す練習のこと。

忙しいときほど、目はスマホに、耳は通知に、頭はタスクに。

でも、そんなときこそ——
一度目を閉じて、呼吸の音だけを聞いてみる。

それだけで、感覚が“いまの自分”へと戻ってきます。


サントーシャ:「今ここにあるもの」に気づく

もうひとつ、大切な教えに**サントーシャ(知足)**があります。

これは、**「いま、ここにあるものに満ちていると気づく」**こと。

  • 洗いたてのタオルのにおい
  • 朝の光が床に落ちる静かな瞬間
  • ごはんを食べるときの、あったかい湯気

それをちゃんと味わえているか?
それに気づけているか?

“ある”ものに触れることで、心はふっとやわらかくなります。


実践:心を「今」に戻す、3つの習慣

① 呼吸の音に戻る

目を閉じて、自分の吐く息・吸う息の音に意識を向ける。
30秒でもいい。頭の中が静かになってくる。

② 小さな動作を、ていねいに

洗い物、湯を沸かす、タオルをたたむ。
その「手の動き」に注意を向けてみる。
今ここで、私は生きている。

③ 「まだこんな時間なんだ」と言ってみる

忙しいはずの中にふと生まれる、時間の余白
その感覚に気づいた瞬間こそ、心が“今”に触れている証。


ヨガは、今ここに戻ってくる練習

忙しいことが悪いわけじゃありません。
でも、「忙しいまま一日が終わること」が、なんだか虚しく感じるときがありますよね。

ヨガは、そんなときの“帰る場所”になってくれます。

ほんの少し、
目を閉じて、呼吸に意識を向けるだけでも——
あなたはすでに、ヨガをしているのです。


最後に、ひとこと

「今に気づくこと」それ自体が、もうヨガなのです。
— ヨーガ・スートラより

時間に追われる日も、
心がどこかに飛んでしまう日も、
それに気づけた瞬間から、静かな“実践”が始まっています。


終わりに

RYT200では、ポーズや解剖学だけでなく、
こうした**“暮らしの中でのヨガ哲学”**を大切に学んでいきます。

ヨガを学ぶことで、忙しい日々が変わるわけではありません。
でも、その中のひとつひとつの時間に、静かな“気づき”を取り戻す力が育ちます。

マットの上だけではない、あなたのためのヨガ。
一緒に探してみませんか?

KANAKO

KANAKO

身体づくりから始まったヨガの学びを深める中で、現代の視点からわかりやすくヨガ哲学を伝えることに魅力を感じています。内面の気づきや哲学を大切にしたヨガの在り方を、コラムを通じて皆さまにお届けします。